( ッ、ジャム!! )
[先程までの優勢が嘘のよう。
劣勢と傾いた戦況に焦りを覚え、驚愕に一瞬目を見開くも、表情はなるべく崩さぬまま。詰まった左手の銃を躊躇なく放り捨て、腰のポーチから手早くケーブルを取り出す。
破れかぶれの戦法など取りたくなかったが、今狙うは強行突破。
横合いから思いっきり殴りつけ、コイツを捩じ込む。
手にしたケーブルは、普段の物とは些か造形が異なる。
異なる点を述べるならば、強制ハックの為の装置が先端に付いている所か。
ホチキス程のサイズをした鈍色で武骨のソレは、相手の情報を強制的に抜き取る物。
普段と違い対象の強制シャットダウンの手間を省き、瞬時に自身の電脳へとデータを流すそれは、緊急時でない限り持ち歩かない品だった。]