雪降る庭の
[膝を抱えて丸くなった「先輩」の顔は、暫くの間は俯いて隠されたまま。ただ冷たい空気を微かに震わす鼻をぐずる音が、涙の存在を暗に示すようでした。
ここで白薔薇が「先輩」に文字通り手を伸ばしてその身に触れたなら、彼の叫びの所以も、抱えていた罪の意識も――謝りたかった訳も、白薔薇の樹霊は感じ取ることができたのでしょうか?
>>88>>89 こちらに心寄せぬ人間の思念と音楽の記憶をも、その人に触れられた時には読み取ることができたように。
>>1:218 ともあれ白薔薇は「先輩」の身に触れぬまま、彼自身の口から零れた「白薔薇」の語を耳にしました。
そしてついに顔を上げたその人が零した「ツバサ」の名も――「ツバサ様」ではなく。
>>90]
ああ、私はツバサ。
ツバサ様でも、外浦部翼でもなく、ツバサだ。
[この白薔薇の正体を誰から聞いたのかまでは、白薔薇は特に問いません。ただ「様」がつくあの御方ではないのだと認める形で、白薔薇はこう口にしていました。
(※一般視聴者がみんながみんな「ツバサ様」呼びする訳ではないようですが、それは置いておきましょう)]