[気づいた瞬間反射で飛び退き全速力で逃げた、
恐怖で声も出なかった。
犬は追いかけっこと勘違いしたのか
それはそれは楽しそうにはしゃいで追いかけた。
確か5年前、庭の林檎がよく実った時期の頃だ。
周囲に誰がいるのか前方すらもよく見ないまま
林檎の木に激突し、落下した実が頭上に落ちて
気絶した今すぐにでも忘れたい過去だ。]
あーあ、今笑ってる人たち全員
頭に林檎当たんないかな
[思わず小声でボソリと呟く。
この時ばかりは目から光が消え、
感情が抜け落ちたかのような表情をしていた。
滅多に出ないブラックアレウス降臨の瞬間だった。**]