[先程の叫びとは打って変わっての冷静さは、まるで明るい調子にさえも白薔薇の耳には響きます。
今度ははっきりと白薔薇に対して向けられたふたつの「ごめん」に、白薔薇は少しだけ、ツバサ様らしく整った眉を下げていました。]
喚いたことは謝らなくていい。
確かに驚きはしたが……人間の声を受けるのにも、
強い感情に触れるのにも、私は慣れている。
[それに、死にたくなかったのだろう「先輩」が理音を悲しませただろうことについても――。
これについては「謝らなくていい」の言葉ではなく、こちらの感謝をまず伝えることにしました。]
皇先輩、ありがとう。
理音を励まして、少しだけでも持ち直させて。
あの子の為の旅行までしようとしてくれて。