ー 惑星アルカディアと不才な少年 ー
[アルカディアはとても便利で豊かで平和な星、らしい。
僕はこの星の外に出たことがないから、本当のところは分からない。
けれども、科学の発展した星というのは確かだと思う。
その技術力で、アルカディアは実に合理的な社会を形成していた。
代表的なものを挙げるなら、適正審査や評価システムがそれだ。
才能のある人間は自身の能力を最大限生かすことができるし、そうでない人間も向いていない職を事前に避けて、自分が比較的活躍できる職を選べる。
そうして社会に貢献すれば、その功績は評価として目に見える形で返ってくる。
大多数に影響を与えるほど評価は高くなって、社会的にも重宝される。
皆が活躍して、それが分かる社会。誰かの役に立つことが、即ち自分自身の価値になる社会。
皆が活躍できるはずの星で、僕は。]