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>>94 リスティリナ
[花めき通りを数分歩き、一本入ったところに薬師の店はある。
陽の光は大抵の薬品には良くない。窓は締め切られていて暗かった。
男が手早くカーテンを開けて蝋燭に火を灯して。それでやっと不便しないくらいの明るさになった。]
これが数センチ宙に浮ける薬。
[小さな透明の包みを出す。マシュマロのような柔らかそうなふにゅふにゅが入っているのが見える。]
あとは……
[面白い薬とはなにかと、男は少し考えている。
もしも辺りを見回したならば、壁一面を埋め尽くす木造の抽斗にラベルが貼られているのを見ることができる。
『頭』『目』など部位別のものだったり、『切り傷』『火傷』など症状別のものもある。端のほうには『宵』『教』『未治験』といった、一見して意味の判然としないラベルもあった。]