[ ぽいっと放り込まれるように、>>85もう一人、小柄な女の子がこの部屋へとやってきた。随分と小さい。ベアトリクスと言っていた、最初から室内にいたこちらの女性に丁寧に頭を下げる様子は、人柄の良さを感じさせる。
ともあれ、さっきベアトリクスが言っていたことが本当なのであれば、ここは「異世界」だ。
世話役という人がいるのだとしても、ここに放り込まれた俺たちはなんかあったら助け合えたらいいなって。
ほら、俺は唯一の男だし。ここにいる人たちに害意は感じないけれど、―― ちゃんとしっかりしないと。
いや、俺よりも年上の社会人っぽいお姉さんもいるけどさ。 >>95
何かあった時の為に彼女たちの連絡先を聞こうかと、スマホを探してポケットを漁る。指に触れた馴染んだ感覚にほっと一息。画面を覗き込めば… 圏外。
まぁそうだよな、「異世界」だもんな。と、ようやく状況が現実味を帯びてきたところで、不機嫌そうに壁にもたれていた壮年の男性がこちらへむかって歩み寄ってくるのが見えた。>>93]