脱兎は眠りて底へ向かう
[医務室では、レイルへの処置を行う為に人が集まっていた。
>>8 >>12 >>17 各々が出来ることを努めて、レイルへの治療を行っていく様子を私は──ただ見ていた。
何かすれば治療の邪魔になってしまう事、知識を持たない"子供"であるという側面からもこれは仕方の無い話ではあった。
>>1:69]
お義父さん、私はここに居ても役に立てないから、少し外の様子を見てくるのよ。
[そう義父に伝えて、医務室を後にした私は甲板とは逆の通路へと進む。
角を曲がれば、通路の陰を背に体重をかけてずるずると力なくくずおれていき、静かに瞑目した。
──自分がただ、無力だと思った。
人を助ける知識も技術も持ち合わせておらず。
未だ乗船出来ずにいる人を助けに行く力もない。]