[どうすれば、と彼が問う。>>95
どうしたものか、と男が肩を竦める。
困惑が眉間に刻まれた相手の顔を、男が見やる。]
さぁ……。
まあ、あれだな。帰る場所とか、作ったらどうだ。
何処でも、好きな場所。
もし失くしたなら、また作ればいい。
それも簡単なことじゃないが…誰も一人では生きていけない。
だから、帰る場所がいる。
[いよいよ困った、と首を傾げる。
目の前の患者の顔を見ていた目も、ふらふらと明後日の方向を見た。
そうして、ようやっと出た言葉はそれぐらい。
肩を竦めて、これ以上はお手上げ、と示したあと、とんとん、とアロールの胸の中心辺りを手のひらで軽く叩いた。*]