ー いつかの赤い男と ー
[革の椅子に深々と腰掛ける公爵のもとに、幹部の一人が満面の笑みで手土産を持って報告へとやってくる。>>78
彼の趣味は、常人からすればひどく奇妙で趣味の悪いものに見える
(ページボーイはたまたまその時古い幼馴染に会いに行っていたため不在だったが、その情報元を聞いたとしたらきっと、『オェー!』と舌をだして嫌がっただろう。粗暴なやつだが一応女の子だから)
しかし公爵はむしろクスクスと笑って、彼を報告をうなずきながら聞き入っていた。
上下関係を意識しない振る舞いに対しても、
特に気にする様子はなく、むしろ古い友達のように、
それは良いことを聞いたと彼の戦利品を褒める]
『そうだなぁ、フィジシャン。
私も楽しみだよ…歯ごたえがある者との邂逅が』
[無邪気に今夜の献立を想像するかのような彼に
公爵もゆるりと笑う。
加虐的にもみえる嗜好も、猫が獲物を自慢してくるようなふうに見えてしまえば、手元に置いておいて、実に良かったと思う要因になるのだ**]