[夏休みの利用者は少ない。
むしろ自習室として活用する者がほとんどで、
ぽつぽつと埋まったテーブルからはペンがノートを滑る音がする。
結月も例外ではなく、カウンターには参考書が置かれていた。
ふと目に入ったのは、机に向かう男子生徒>>74の姿だ。
一度見つけたわらびはその後もすぐ見つけられるのだ。
……とは、失礼なので思ったりしないけど。
結月の瞳は、この中の誰よりも強く彼に吸い寄せられた。]
……?
[何かに気づいたような表情。
理由を示すようにカメラは彼の足元を映す。白い塊が落ちている。
結月は少し迷うような素振りを見せた後、
音を立てないように立ち上がった。夏服のスカートが揺れる。]