>>2:257
[掌にぺったりと付いた赤いもの。
この身が失ってしまったヒトの証のひとつ。
ああ、果物の汁に似ているか。
……そこで一瞬止まりかけた思考が、
ハリコの叫びで破られた。>>2:257]
……! 船へ!
[先に走り出したのは、ハリコ。
レイルに肩を貸し、彼女の後を追って。
どうにか薄暗い船底に転がり込んだ。
うすら冷たいものが、腹の奥からじわりと這い登る。
不快な感覚を、努めて意識の外に追いやった。]
[整った顔に、苦痛を押さえ付ける凄絶が滲んでいた。
名家の使用人だった彼の生き様が、
何でもないことのように振る舞わせているのだろうか。
脇腹からは先程と変わらず、血が流れ続けていた>>230
(時系列上、>>2:251冒頭描写をここに移動します)]