[そのまま、フットマンの胸元目掛けて踏み込んだ姿を見て、フットマンは咄嗟にマズイ、と思った。すぐさま周囲に視線を走らせると、手握った愛銃を手放して、足元に落ちていた鉄パイプの廃材をつま先で跳ね上げ、掴む。
目の前に迫ったカタナの側面を廃材の先で叩いて、狙いを逸らす。
それでも、フットマンの力は大きく弾き飛ばすには至らなかった。
そこに重要な機構があるのか、そもそも機械などではないのか。
胸はマズイ、と言わんばかりにフットマンは弾き切れなかったカタナの切っ先をグローブで包まれた左の掌で受け止めて、今度こそ横に逸らした。]