佐次詩羽

　え、　　

[ちょっと予想外のもので、一瞬呆けた。
後にむむ、と眉を寄せる。

呼び方……呼び方か……いやまあ確かに学園に入った後も
皆のことはあだ名で呼ぶのに、何となく螢だけ
五十嵐くんのままになってたんだよな。
我ながら他人行儀だなって自覚もあったけど、
突っ込まれないのをいいことに有耶無耶にしていたつもりだった。
だめだった。はい。]

…………　んー………　じゃあ、けーくん………？

[ああ、久しぶりにそう呼ぶけど、
やっぱりこっちのがしっくりくるなとは思う。アタシも。
おず、と口にして反応を窺い。]