[こうした事情>>117>>118を、赤い男が察しているか否かは兎も角として。
オクリビは「カサブランカのフアナ」だった頃と大して変わらない素振りで、笑って言葉を続ける。]
うち……いえ、私はもう辞めてしまいましたが。
市場に出回らないパーツをお求めなら、
またカサブランカに脚を運んでも宜しいかと。
[今や他の組織に与する身として、あくまでリリオとは縁を断つ心算ではいたのだが――。
「顧客」の顔を久しぶりに見るや否やこうなるのは、闇市場の商売人としての気質の名残。
客の勧誘にしては妙に歯切れの悪い言葉を発話しながら、きまり悪そうな苦笑を顔に作る。
なお、オクリビは自分がリリオを辞め、他の組織についたことを特に隠すつもりはない。
寧ろリリオ脱退の話が広まった方が古巣に迷惑が掛からない、と指向している節すらある。
もっとも、肝心の新たな所属先については、この時は曖昧に濁すだけだったが。*]