[そして始まる、小さな盤上の遊戯。
1歩踏み出した男の歩兵と、それに返すような歩兵の歩み。その行く先を見れば、次に挨拶をすべき歩兵をさらに繰り出していく。
相手の視界を、自らの思考に落とし込む。
そしてゆるりと顔を上げ、片手で手番を促した]
論理と合理には飽きたかね?
あれほど分かりやすく明瞭で、扱いやすいものもないだろうに…
理屈で縛ってしまえば、何もかも操作しやすい。
…君を飽きさせてしまった、その研究とやらには、
私は興味があるよ
まだ私は、秩序と法則の世界にいるものでね。
…君が新たな混沌の世界に渡ってしまう前にでも、代わりに貰い受けたいものだ
[と、目の前の混沌の黒い瞳を見つめ、その心を問う]