[顔にかかった前髪を耳にかける。
はたして、命を食い潰すこの戦争に意味はあるのか、と問うた部下に、無意味なことは考えるな、と単調に返す。
意味はないかもしれない。
「ウロボロスの紋が泣く」と呻いた部下に、よく回る口だな、と薄型のガラス端末で頭を小突く。]
「先生、どうして助けたんですか。
あのとき死んでたら、もうあんな恐ろしい思いはしなくてよかったのに。」
[いっそ、憎らしげに負傷兵が言う。
身体が半分ほど吹き飛んでも、彼はまだ生きている。
これから、彼の失くした半身を彼の残った細胞から再現して修復する手術に入る。それまでは、彼の身体は半分ほど特殊な液体漬けだ。]