[余談だが、リリオ・カサ・ブランカの電子データベースにはきちんとセキュリティがかけられており、フアナ自身もその保守整備を担当していた時期があった。
これはトループ国外の組織や国家、国内であっても個人の「ならず者」相手からの攻撃を想定してのものであり、国内の組織からの攻撃は想定していない。
(仮にもしそんな暴挙に出る「非常識な」組織が存在すれば、他の組織及び中央表通りの者たちによる集団制裁は免れられないだろう)
……が、組織に属する者が、組織の意向と一切関わりなく、あくまで個人でハッキングやクラッキングを試みることがなかった訳ではない。
とはいえその動機はただの遊び半分か腕試しか――あるいは「白百合」の内情への好奇心からか、ではあっただろうだが。
尤も、目の前の赤い男が、果たしてこうした個人的侵入者のひとりだったか否かは、また別の話。**]