舟に乗らずこの地に残った人は私だけではない。 生まれ育ったこの地から離れたくない。 滅びを受け入れ、この地にともに消えようと、 ほとんどは、お年寄りであったり、私のように 残り幾許も無いという理由で席を開けたり。 まだひとがいるうちは良かった。 そのうちひとり、ふたりと姿を見せなくなり。 ……誤算は、私が存外にしぶとかったこと。