[ある朝、いつものように市場に寄って、食材と花を買って宿舎へと向かう。
そんな俺を、懐かしい声が呼び止めた。]
『久しぶりね。
毎朝、花を買ってるって噂、本当だったんだー』
[俺は、久しぶりに元恋人でもあり、
元冒険者の彼女の名を口にした。
見た目はあの頃と変わっていないが、
着ている服はずいぶんと変わった。
冒険者の頃は魅了の術を使うためもあり
露出が多かったが、
今はほとんど肌を見せない服を着ている。
それでもスタイルが良いのはよくわかる。
そんな彼女が、可愛い花ね、と俺の手にした花束を覗き込んでくるので、とっさに後ろにやる。人に贈るもんだから…と小さな声で。]