[振り払う腕に接続部が外れ、転げ落ちるように互いの距離が離れる。>>114
肩で息をする少年の姿に向けた顔は、痛みと浮かぶ苦痛でも、愉悦から来る笑みでも何でもない。
其処に在るのは、"無"だ。
男の表情は変わらない、何も変わらない。
興覚めと言わんばかり、今しがた抜き取った膨大な情報を無言で扱い、血まみれの腹を抑えながらファイティングスタイルを取る相手を見下ろす。]
……目ぼしい情報は無いな
[少なくとも公爵襲撃や、それに関わるようなものは見当たらなかった。些細な欠片さえも見当たらず、広がるは膨大な彼のプライベート。
それは、感情に鈍い自分であるからこそ覗き込めるもの。
記憶とそれに連なる他者の感情の起伏。抱く数多。]
つまらない、
[吐き捨てる。]