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[……とはいえやっぱり様々な現物を実際に手に取って検討した結果、最初に被るのはレオーネくんのライオン耳とたてがみを模したカチューシャになった。
王道! さて、試着の際には当然鏡を見て確認した訳で、この時にヘローは漸く己の頭部の状態を視覚によって知った。
そして頭上の光輪にも気づいたことで、「ヘロー」の偽名を押し通す口実を得ることもできたのである。]
(文字通りの“鷺”だな、これは。
ああ、まさに“残鷺の君”、か)
[「残り鷺」とは、渡るべき地に飛び立てずその場に留まる鷺のこと。
この機工の両腕が翼の形を為していないことも、翼を折られて「残り鷺」にさせられたことの寓意のよう。
――今の己の身の境遇のみならず、
ある経緯で祖先が地位を喪ったことをも思えば、
確かに「飛び立つ翼」も「なくしたもの」ではあった、が。]