記録・フットマンの身体
[メトロポリスの医療技術。老化の停止手術を行った生身の人間。それこそが、フットマンの正体だ。
では、なぜトループの人間であるフットマンに、メトロポリスが技術の出し惜しみをしなかったのか。
その答えは簡単だ。フットマンが医療技術の発展として「未確立の新規開発された技術の実験体になって良い」としたからだ。
彼らはモルモットが欲しい。それも、モルモットが使い捨てて良いもので、自分たちの誰も危険を犯すことなく、安定と安全を保証された技術だけ使えるならば、なおいい。
そうして、フットマンの老化は止まった。
──なら、電脳化すればいいじゃないか?そうだろうとも。
でも、フットマンはそちらを選ばなかった…なぜって?
「機械は全ての成すことが出来て当たり前になってしまうから」だ。
だけど、出来て当たり前、なんて面白くない。ランダムで失敗するように作られるのも何か違う。だから──フットマンには、機械の身体は選べなかった。]