(巡り切れなかったところは、また今度、だな)
[ヘロンは、あの時オリエントエリアの飯店で聴き拾った面影>>1:187を、頭のどこかで、「なくした大切なもの」との邂逅だということにしてしまっていた。
それに対して手で触れることもしなかったのだから、「なくしたもの」は「なくしたもの」のまま。
そうであれば当然、あのチケットが再び自分の元に届くこともあろう、と自然と考えていたのである。
その「なくした大切なもの」に触れず、今後も触れない心算でいるのは勿論、この夜の遊園地にまた遊びに行くため……というよりも――。**]