桜も咲くしさ、悪くないじゃん。なんで涙が出るのかな…[ぽたぽたと手すりに落ちる涙を見て、顔を腕で拭い、鼻を啜って上を向く。雀が桜の枝から2匹一緒に青い空に向かって飛んでいくのが目に入る。そのまま自然と、溢れた涙が収まってくるのを待った。あの冬の日に比べたら、全然涙は流れない。それが少し、寂しかった。暫くの後、真正面に向き直って、窓ガラスの方に向かって小さく気合を入れる。]