[それからふっと、ハリコはやわらかな微笑で言い添える。]
善良な魂なのはあなたもよ。あたしはそう思う。
こんなにも、奥さんと娘さんを想うことができて、
[それはこちらで直す前の二匹のクマが、ほつれているなりに丁寧に縫われていたように見えたこと、褪色して汚れる程に長く連れ歩いてきたのだろうことからも思えたことで]
想うが故の辛さも感じるような、善い人なんだって。
[あの時の「大丈夫」>>21に対しては当時のハリコは深入りせず、ただ曖昧にその返事を受け止めただけだったけれども、今この時はちゃんとこう口にしていた。]