[その場所にアクセスしたのは、夜の女王のアリアと言う組織の代表としてでは無く、あくまでも自分個人として。>>123
シーズニア産のチョコレート菓子を口に放り込みながら、薄暗い室内、ネット経由で白い家の百合のデータベースにダイブする。
拠点として選んだ場所は、白百合からそう離れていない廃墟の一角。
ウッカリ足跡を残したとしても、そこに居たのは一体誰なのか。それはきっと誰にも分からない。
動機は「いつも買い物をしている組織の内情ぐらい知っておきたい」というシンプルな物。その時はおそらく、遊び半分でもあったと思う。
だが相手はトループ内に席を置く組織、冗談では済まない事も、無事帰れる保証も無い事も全て承知済みで。
混沌を是とする男は躊躇なくケーブルを繋ぎ、キーボードを叩くとアクセスを図った。
結果、惨敗。
めぼしい情報に手を伸ばしたと思った瞬間保守システムに噛みつかれれ、些か乱暴に痕跡を消すと、バックドア設置もナシに早々と切り上げた。
その後は荷物をまとめてすぐその場を去っただろう。
逆探知されれば厄介だ。
廃墟の一室に残ったのは、カラフルなチョコレート箱が1つ。
洋酒交じりの其れは食べかけで、ほとんど溶けていなかっただろう。*]