[「この店は潰しませんよ」という言葉に内心で胸を撫で下ろす。しかしそんな安堵もつかの間、突然跪いたフィジシャンから発せられた言葉はあまりに衝撃的なもので>>64、アリシアはしばらくの間言葉を失った。
その頭の中では何を考えていただろうか。
勢力図の崩壊?表通りの危険度?夜の女王のこれから?街にこれから起こりうる事態?
きっとその全てだ。
公爵という血縁の死?それは──果たして、彼女の心にどれほどの傷を与えたのか。涙の流れない体では判断できない。]
……あの殺しても死なない人を、幹部ごとまとめて一瞬の間に「消しうる」存在が、この国にいるの?
[という疑問は、既に生き残った幹部の間で交わされていただろうか。聞かせるつもりも無いような呟きを説明の傍らの男が拾うかどうかはともかく、彼女が思考の整理を次々と進めていくことに間違いはない。]