― 回想/1年前・夏の終わり・九月/廊下 ―
[校舎の窓から見えた桜は青々とした葉を揺らしている。
燦々とした日差しがグラウンドを照らした。
夏休みも終わり二学期が始まった頃、
すれ違った二人はどちらも夏服を纏っている。
固いブレザーがなくなったからか、
美濃の柔らかな印象がより際立つようだった。]
……美濃先輩?
[数歩進んで振り返った様をカメラは後者の外から捉える。
近づいて、重なって、離れた。そのすべてを。
結月はどこかに向かう途中だったのだろう。
手には透明なクリアファイルが握られていた。]