[テトラポッドを越えて、ぶらりと海岸を歩いたりもしたか。
肌に触れる風は冷たいが、澄んだ空気は心地よかった。
防波堤に腰かけて海を眺めながら、出会って以降の事をぽつぽつと話した。]
ケン君、友達になってくれてありがとう。
放送部の事、君に言われて自信がついたんだ。
君の言葉に救われた。
……本当だよ。
成績の事は要努力だけど、放送部を続けていきたいから頑張るよ。
来年こそは、朗読部門で出たいしね。
[そう語る少年の背中は、出会った頃と比べてすっと伸びていた。
それは、この一年の少年の変化を示している。
途上ではあるが、確かな変化だ。]