[青、紫、黄色、白、緑、橙、黒───
様々な色のスプレーを手に取り軽快に持ち替えては
次々と横長のパネルに吹き付けた。
色の霧は水面になった、海になった。
チラシで擦り付けた跡は海底の岩肌に。
色を塗り重ね時折ステンシルで覆った箇所は
躍動感溢れた水面目掛けて泳ぐイルカたちに変わる。
水面に伸びる白昼の金色の日差し、
それ目掛け一直線に
水面へ上がろうと泳ぐイルカの群れが
みるみるうちに完成へと近づいていく。
周囲の騒ぎと目線に気づけば水を得た魚のような
イキイキとした笑みで手を振って応える。
呼び止められれば応答した、話をする姿勢を見せた。
時折日陰で休憩する際話しかけられれば
質問や話に花を咲かせながらまた作業に戻るの繰り返し。]