― リベルテ降機前 ―
[大きな荷物は船内アンドロイドに任せ、私という存在は、少し大きめのバッグと共にその場に立っている。
けれど普段と全く違うのは、袖を通している衣服が異なる事か。
パンツスタイルである事こそ変わらないのだが、選ぶ色や服の趣味は正反対。
まず目を引くのは、薄桃色生地のゆったりとしたハイウェストワイドパンツ。
上品な白のブラウスは、ほんの少しギャザーが入り、やや甘めのフェミニンスタイルで女性らしい。
足先は、ブラウスと同じ色のローファー。
それと長かった襟足を、ゆるくアップにまとめて。
どれも船内ショッピングモールでドルチェと一緒に選んだもの。>>1:363
彼女が似合うと笑ってくれたから、勇気を出して自分で選んだもの。
別人のような出で立ちだけれど、緊張気味の顔はいつもの私。
誰かを探している様子であったが、目当ての人物を見つければ、私は気恥ずかしそうな顔で駆け寄るのだ。>>84>>85]