薬師 ユークレース

>>135 フェイツウェ

［またか？驚いて目を見開いた。
今日は血の匂いをやたら嗅ぎつけられている。他の匂いがわんさかと漂っているこの街中で。
もしかして——］

　　随分と鼻が良いようで。

［それはとても良いことなので咎めるところはない。
写真画家の彼と違う意味で人を疑うことを知らない。それそうだろう、目の前の人物が人間じゃないなんて、人間は思わない。］

　　薬は使用していますよ。
　　これでいいんです。
　　傷に対し、作った薬がどう効くか調べているところなので。
　　……瘡蓋ができかけていたところでしたが、
　　歩き回っているうちに開いてしまいました。

［>>105知り合いに傷を開かれたとは、流石のこの男も言わなかった。
目に見えないものを見ることができる者たちならば、その手首に白金の残滓が残っていることを察知できるのかもしれないが、この男に知る由もない。］