[その子犬もこの場でのことを案じていた>>99のか、幸い、まだその場に留まっていた。 ヘロンはできる限り子犬と視線の高さを同じくしようと身を屈め、やはりその身に触れることなしに声を掛けた。] 君がもし、“月白の大狼”パップを知っているなら、 あの方に伝えておいてくれないか。“私の裏切りを許す必要は無い。 貴方に喰らわれたって構わない―― とまでは言わないが、 喰われても文句は言わない”、とな。 ……もしあの方への心当たりが全然無いなら、 この伝言のことは忘れてくれて構わない。