水音と共に
[レストルームの侵入者の正体は声でわかったが
>>123同時に、この店に女を聞きかけるような者もその人物しかいなかった。
足音が徐々に近づいてくるのを確かに耳に感じ取りながら
えづき始めると同時に湧き出てきた頭痛に、視界も呼吸も揺れ動く。
――女が提案を断ることはなかった。
むしろ女には、そこまで意識を傾ける事が出来なかった。
擦るなら勝手にしてくれて構わなかったし
放っておくなら放っておくでも構わなかった。
男にとっては善意かもしれないが
女にとっては、それが善意と悪意のどちらであるか
図る先から別の事に、意識が持っていかれていたためだ。]