[写真を撮る事が好きだった。 レンズ越しに映る世界は、なんのてらいもなく真実を彩るから。 だけど、その真実に残虐な現実を突きつけられた時、僕は心の底から撮る事が好きだとは言えなくなった。 積み重ねた『存在』が反比例するように希薄になる。 撮り重なる"写真"は、いつしか机の上で溢れて零れた。 何も、何も為せていない。 キミが青空の下で見せる筈の笑顔も。 写真で見せた花畑へと共に向かう事も。 僕の声を聞き、キミの声が返される事も。 その夢を、摘まれる謂れがどこにあるんだ? ]