[ひとしきり笑い終わったら、目の前の少女は起き上がって、汚れた外套を脱いでからフットマンを担ぎ上げた>>66。
突然のことに、フットマンはやや目を見開く。
ほとんど力が入らず、脱力した大柄な人間をこうもあっさり担ぐか。
─いや、それもたったひとりの葬儀屋ともなれば、普通か。
体格差の影響でフットマンの足を引きずる形になっているが、フットマンも足に力が入らない為、甘んじて受ける他ない。]
わたし、のほうに……忘れ物が、
[帰る先を聞かれてそう答えてから、ふう、と息を吐く。
もってて、と問答無用で外套が自身に縛り付けられるのを、フットマンは半笑いで受け入れた。まあ、仮に嫌だったとしても抵抗なんてできないしね。]