>>137 フェイツウェ
[視えるとの言葉に、己の衣服を検めた。どこも乱れていない。傷が見えるわけがない。]
……そうですか。
[それならば、不思議な力で見通すことができるのだろう。
見苦しいものを見せた罪悪感と、念入りに隠しているものを態々看破するこの人物の無神経さとが相殺されて、そのことについてこれ以上言うことがなかった。]
荒事……?ああ、いいえ。
これは自分で切ったんです。
傷がないと傷薬を試せないでしょう。
[黒服と聞いて、顔見知りの写真画家のことが思い出された。
祭りの喧騒に紛れて襲われてやいないだろうか。武力でいえばなんの助けにもならないが、あとで様子を見に行こうと思った。]