― ファンタジーエリア・王城前 ―
*勇者様の入場です!*
[大きな声で両脇のスタッフから、思わず身体を震わせて。]
あらまぁ!びっくりしちゃったわ。
「アハハッ、勇者じゃなくて魔女なのになっ」『おばあちゃんだいじょうぶー?』
[魔女の周りでくるくると光球が舞えば、城を守るスタッフは一つ咳払いを。そして、穏やかな声で、お通りくださいマドモワゼル、と言えば。魔女は、ご丁寧にどうも、と微笑んでゆるりとカーテシーを。
その様子を見て、妖精がババアなのにと笑えば、再度咳払いが聞こえた。]
それじゃ、お邪魔しますね。
「王城内に資料館あるんだぜ!」『おばあちゃんこっちー!』
[はしゃぐ光球の先導で、王城内を歩く。
靴音を吸収する赤いカーペットの上を歩きながら、辺りを見回して。お城は観光地で近くにあったが、ついぞ行くことはなく。
煌びやかな装飾に目移りしつつ、光球は売店から脇にそれて渡り廊下へ、そして目当ての資料館へと続く。
・・・・・・一匹のいたずら好きな光球が売店まで戻り。品物の一つを手に取り、また先導に戻る。]