[着ぐるみ姿の誰かと向かい合うのは不思議な心地だ。
言い表しようのない感覚は、異世界なんてところに来たのとこれまでの経緯も相まって、ふわふわしている。]
ピギー。ピギー……。
[普段なら敬称をつけるのに。
教えられたままに繰り返して呼んでいた。
着ぐるみの誰かはピギーになった。>>125]
ぇ、私は、いよりわかほ。
[名前を聞かれたと思い反射的に返してから、この世界に名字の概念がない可能性が浮かぶ。
かほ、だろう。呼びやすいというなら。]
……なんか、それっぽく楽に呼んでくれたら。
[押し黙った後だったけれど、適当に投げやりになったわけではないと伝わるかどうか。
後から、別にいよりわでもかほでも良かったじゃないかと過るが、訂正せずピギーに任せることにした。]