[ そして。 少年がもし、治療の対価として硬貨を差し出したなら 私は少し考えて、黙って顔を背けただろう。 ] その金が無ければ、君は明日のパンも買えない。 医者として君を治したというのに 餓死でもされては夢見が悪いな。 ……それに、[ 熱に魘される少年の幼い顔は。 まだ仲が良かった頃の弟の姿を思い出させたから。 ……なんて与太話までは口にしなかったが。* ]