「美大に行きたいんじゃなかったのか?」[前年の担任から話を聞いていたんだろう。結月は眉をしかめて見せた。何度も言われたことをまた掘り返されるのも、人がたくさんいる場所で告げられる無神経さも嫌だった。] ……。[結月は周囲を伺う。先生同士の机は近いし、周りには他の生徒もいただろう。見渡したせいで逆に存在を認識されたかもしれない。さっさと終わらせたくてため息と共に返事をした。]