― 春/図書室 ―
[結月は、差し出された本を受け取った。>>102
透明なフィルムの感触を撫で、裏返す。
彼女が貸し出しカードを持っていたなら受け取って、
なければクラスと名前を尋ねた。]
わたし?
[目の前の彼女は、結月を先輩と呼んだ。
彼女の心中>>101は知る由もないが、
言い当てられたことを不審に思うこともない。
確かに結月は小さい。
今も座っているせいで、目の前の彼女とは視線の高さが大きく違う。
貸し出し処理を終えた本を差し出した。]
……絵本の方が好きなの。
[差し出した本の上にひとつ、言葉を乗せた。]