─土産物屋にて─
[わたしの言葉に本気で不思議そうな顔をする相手に>>136、わたしはちいさく微笑みます。
相手は見ず知らずのわたしの思い出話に相槌を打ちながら聞き入ってくれました。そして、父も姉も幸せ者だ、と彼は言います。>>138
不幸な家族だと憐れまれて生きてきたわたしにとって、それは二度とない機会のような気もしました。
いつの日か、わたしは「自分が幸せかどうかぐらい、自分で決めたい」と思いました>>0:160。……でも。本当はそうでなかったのかもしれません。
自分が幸せに生きていることを、誰かに知ってほしかった、認めてほしかったのかもしれません。幸せであることすら否定され、今の幸せが虚構であるかのように扱われ。誰一人、わたしたちが幸せであると言ってすらくれなかった。
……だから今。見ず知らずの彼が、そう言ってくれただけでも報われた気がします。幸せなのか幸せでなかったのか、わからなかった"自分”が、赦され、認められた瞬間でした。]