[そのカタナを引き抜く前にフットマンの方から引き抜かれ、僅かに体勢が揺らいだところで、機工の目が捉え切れていなかった「王」の脚が、腹部に強烈な一撃を見舞う。
蹴りが回避目的のものだったからか、まともに食らっても機体の外装や内部に損傷が起こることはなかった。
ただ、外装をプラスチックにして軽量化した分地面に踏みとどまる力も弱く。
ブーツの靴底で地面をひっかくようにしながら、オクリビの機体は後方へと吹き飛んだ。
距離を開けられたところで、漸く止まった両脚で踏みとどまり直し、崩れた態勢を元に戻す。
その表情には、やはり全く何の変化もない。
腹を蹴られても何も吐かず、呻きもしないどころか、苦痛の色ひとつとして浮かばない。]