昔は、巻末に紙のカードを挿して貸し借りしてたって言うね。 読んだ本に読んだ人の名前が順番に書かれていくみたい。 そういうのが好きな人がいるって聞いたことあるよ。 きっと、鬼束さんと同じだったんじゃないかな。[結月は「ほっとする」を否定しなかったが、同意もしなかった。] これからの三年間で、 鬼束さんのほっとする本がいっぱい見つかるといいね。[図書室は私語厳禁である。小声だとしても長々とは話せない。彼女が本を手に出ていく姿を、先輩として穏やかに見送った。]*