[こうしてこの場の障壁たる看守がひとり、どこへとも知れぬバカンスを目指してこの地獄の調理場から退場(この世からの退場ではない、筈だ)して――このファッション成金の鞄の中身が超成金だということもこの場で明らかになってしまった。
これはこれで少々ハリコが他の看守やら暴動の囚人やらのターゲットになるおそれもあった訳だが、馬鹿力の“ヒーロー”に銃や鞭を構える看守たちの意識は、レイルの吹いた指笛にすら向いていないだろう。
ともあれこうして場が一通り落ち着いたら、大穴の先、未だ看守たちの警戒が敷かれている道程を越えて、解放の輸送船へと駆けるだけ――!]