[次に彼女と会ったのは、囚人用の図書室だった。
その時の自分は、すでに制服を着ていなかった。
伸ばした髪はかつてより少し傷み、アイロンがかけられていたシャツには皺が残っている。
深いグリーンの後姿を見つけて、声をかける。]
こんにちは。良い天気ですね。
[窓から見える天気は少し雲がかかっている。これぐらいが、過ごしやすい。
もしも彼女が逃げるなら、追いかけることはしない。
もしも返事がもらえたなら、少しだけ話をしよう。
今はもう、看守の立場ではないこと。
男性を怖がっているようならば、自分は女であると伝えよう。
そして、家族(主に母と姉妹)がHarrikoのファンであることを、話せただろうか。]