― 回想/1年前・夏の終わり・九月/美術室 ―
[地の文の不足を補うように結月のシーンが続く。
窓の外のすべてが夕焼け色に染まっている。
片づけを終えた部員が帰宅するためにすれ違う。
「今日どうしたの?」「大丈夫?」
幾人かの気遣う声に結月が手を振る様子から
彼女が本日部活を休んだことが伝わるだろうか。]
先生。これ、お願いします。
[美術室に残るのが顧問の松本になるまで結月は待った。
そして差し出したのはシンプルな封筒>>134だ。
役目を果たしたクリアファイルが
抜け殻になって結月の手元に残る。]