・・・そうだね
ボクもおにーさんとは出くわしたくないや
このまま停戦になることを願うよ
[些か感情のこもらない声でそんな風に言った>>129。出くわしたくないのは本心だが、停戦になってほしいかと言えば ――、
解らなかった。スラムと戦場にしか身を置いたことのない18歳は平和を知らない。戦うことで居場所を確保している孤児は、戦いがなくなった後の未来が見えない。
名前を訊くことのなかった”おにーさん”が去っていくならそのまま見送るだろう。明らかに違う小道に入っていくのも止めることはない。その背に、せめて有り金全て取られないことを、と願った **]